飲食店開業で使える補助金・助成金を【2026年最新版】で徹底解説。小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金など主要制度の上限額・補助率を比較一覧で紹介。個人事業主や外国人でも申請できるか、東京・大阪などの地域独自制度の調べ方、採択率を上げる事業計画書の書き方まで、開業前に知っておくべき情報をすべてまとめました。

飲食店開業を検討している方が「補助金・助成金」という言葉を耳にしたとき、まず気になるのは「返済が必要かどうか」でしょう。結論から言えば、補助金も助成金もどちらも返済不要です。融資(借入)とは根本的に異なり、受け取ったお金を返す義務はありません。
ただし、補助金と助成金には運用面で明確な違いがあります。
もう一点、重要な共通事項があります。補助金・助成金は後払い(精算払い)が原則です。先に自己資金や融資で費用を立て替えて事業を実施し、実績報告後に補助金が入金される仕組みです。そのため、補助金だけを当てにして開業資金を計画するのは危険で、融資との組み合わせが現実的な選択肢になります。融資の活用方法については日本政策金融公庫の創業融資を解説した記事を参照してください。
個人事業主の場合、小規模事業者持続化補助金をはじめとする主要な国の補助金制度は、法人でなくても申請可能です。開業届を提出済みであること、そして各制度が定める業種・従業員数などの規模要件を満たすことが前提条件となります。
外国人オーナーの場合は、在留資格が論点になります。国の主要な補助金(持続化補助金など)の公募要領には国籍や在留資格による明示的な制限が設けられていないことが一般的で、「外国人は申請不可」と一概に決まっているわけではありません。ただし実務上は、在留資格で認められた活動範囲や経営・管理に関する要件が問われる場合があります。永住者・定住者など日本での活動制限が少ない在留資格であれば申請しやすい傾向はありますが、在留資格の種類だけで可否が自動的に決まるわけではないため、必ず各制度の公募要領で在留資格に関する条件を確認してください。
また、女性・若者(39歳以下)・シニア起業家を対象とした加点枠や優遇制度が設けられている補助金もあります。東京都の創業助成事業では申請者属性が審査の加点要素となるケースがあり、該当する場合は積極的に活用を検討しましょう。
補助金・助成金の検索には、中小企業庁が運営する「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp )が便利です。自社の状況を入力するだけで利用可能な制度を絞り込めます。
飲食店の開業で活用できる制度は、大きく「全国共通の国の制度」と「都道府県・市区町村の地域独自制度」の2種類に分かれます。それぞれ対象経費や補助率が異なるため、まず国の制度を把握した上で、地域独自制度を上乗せするイメージで検討するのが効率的です。
以下に代表的な国の制度を比較します。
制度名 | 補助上限額の目安 | 補助率 | 主な対象経費 | 公募時期の目安 |
|---|---|---|---|---|
小規模事業者持続化補助金(通常枠/一般型) | 50万円(特例上乗せで最大250万円) | 2/3 | 広告宣伝・内装・HP制作 | 年3〜4回 |
同(創業型) | 200万円(インボイス特例で最大250万円) | 2/3 | 同上 | 同上 |
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金/通常枠) | 最大450万円程度 | 1/2〜4/5 | ITツール・ソフトウェア | 年複数回 |
ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠) | 最大2,500万円(大幅賃上げ特例でさらに最大+1,000万円) | 1/2〜2/3 | 革新的設備・システム | 年数回 |
中小企業新事業進出補助金(旧:事業再構築補助金の後継) | 最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円・下限750万円) | 1/2(特例2/3) | 新分野進出に伴う設備・工事 | 公募回ごと |
※補助上限額・補助率・対象枠は公募回ごとに変更されます。申請前に必ずJグランツ(https://www.jgrants-portal.go.jp/ )や各制度の公式公募要領で最新情報を確認してください。
飲食店の開業・経営強化で最も活用しやすい制度が、この小規模事業者持続化補助金です。飲食業はサービス業の区分が適用され、従業員数5人以下であれば「小規模事業者」として申請対象になります。
現行制度では枠の名称が「通常枠(一般型)」「創業型」となっています。通常枠の補助上限は50万円・補助率2/3が基本で、インボイス特例や賃金引上げ特例の上乗せにより最大250万円まで拡充される回があります。創業型(創業間もない事業者向け)は補助上限200万円・補助率2/3が基本で、こちらもインボイス特例で最大250万円まで拡充される回があります。対象経費の幅が広く、チラシ・メニューブックの制作費、テイクアウト用パッケージのデザイン費、ホームページ制作費、店舗の一部内装工事なども認められるケースがあります。
ただし、重要な落とし穴があります。開業届を提出していない完全な未開業状態では申請できません。通常枠(一般型)は申請時点で事業を営んでいることが前提です。一方で創業型は、開業届の提出(法人の場合は設立登記)が済んでいれば、実際の営業や売上の発生前でも申請できます。なお創業型の対象期間は第3回以降「創業後1年以内」に短縮されている点にも注意が必要です。
加えて、いずれの枠でも交付決定後に発生した経費のみが補助対象です。開業資金そのものをこの補助金に頼る計画は構造的に成立しにくいため、開業後に事業が軌道に乗りはじめた段階で、次の成長投資に活用する制度として位置づけることが正しい活用法です。
申請には、商工会議所または商工会に事業支援計画書の確認を受けることが必須要件です。早めに最寄りの商工会議所へ相談することをおすすめします。
かつての「IT導入補助金」は、2026年度(令和7年度補正)から名称が「デジタル化・AI導入補助金」に変更されました。POSレジシステム・予約管理ツール・会計ソフト・セルフオーダー端末など、業務効率化に資するITツールの導入費用を補助する制度です。補助上限は枠によって異なり、通常枠では最大450万円程度が目安となります。補助率は区分により1/2〜4/5と幅があり、対象枠も複数設けられています。
注意すべき点として、厨房機器・冷蔵庫・調理器具などの物理的な設備機器はこの補助金の対象外です。「飲食店の設備購入に補助金を使いたい」という場合は、小規模事業者持続化補助金の機械装置・システム構築費の区分、または後述する地域独自制度を検討してください。
また、この制度はITベンダー(支援事業者)が申請を主導する仕組みです。導入したいツールが「登録ITツール」として認定されているか、対応する支援事業者と連携して確認する手順が必要です。導入したいシステムが決まったら、まずベンダーに「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)に対応しているか」を問い合わせましょう。
SNSや口コミで「飲食店にも使える」と紹介されることがある制度について、正確な適用可否を整理します。
ものづくり補助金は、「革新的な製品・サービスの開発」または「生産プロセスの革新的な改善」が申請要件です。製品・サービス高付加価値化枠では従業員規模に応じて補助上限750万〜2,500万円(大幅賃上げ特例でさらに最大+1,000万円・下限100万円)が設定されていますが、一般的な厨房機器の購入・内装工事・開業準備には該当しません。例えば、独自アルゴリズムで食材の最適仕込み量を制御するシステムを自社開発するといった、高い技術革新性を伴う取り組みでなければ採択されないのが現実です。一般的な飲食店の開業・設備購入には原則不向きな制度と判断してください。
かつて「業態転換に使える」と紹介されていた事業再構築補助金は、新規申請の受付が終了しています(最終となる第13回公募の締切は2025年3月26日)。2026年時点での後継制度が「中小企業新事業進出補助金」です。補助上限は従業員規模により最大2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円・下限750万円)、補助率は1/2(一定の特例で2/3)となっています。この制度は「既存事業者が新分野へ進出する」ことが目的であり、事業実績のない純粋な新規開業には原則申請できません。一方で、既存の法人または個人事業主が他業種から飲食業へ転換するケースであれば、対象となり得ます。既存法人が業態転換を検討している場合は、認定支援機関(税理士・中小企業診断士など)に相談の上、公募要領の要件を精査することを強くおすすめします。
これらの制度は、誤った期待を持って申請準備を進めると多大な時間と労力を無駄にするリスクがあります。公募要領の要件確認を最初のステップにしてください。
国の制度に加えて、都道府県や市区町村が独自に設ける制度が充実しています。代表例を紹介します。
地域制度を効率よく調べる手順は以下の通りです。
地域制度は公募期間が短く、年度当初(4〜5月)に締め切られるものも少なくありません。開業の半年以上前から情報収集を始めることが、機会を逃さない最大のコツです。
補助金の申請から入金までの一般的な流れは次の通りです。
公募開始 → 申請書類提出 → 採択通知 → 交付決定通知 → 事業実施(設備購入・広告出稿など) → 実績報告書提出 → 補助金入金
公募開始から補助金の入金まで、早くても6か月〜1年程度かかるのが一般的です。「補助金が降りてから開業しよう」という計画は成立しません。融資で開業資金を先に確保しつつ、並行して補助金を申請するスケジュール管理が現実的です。
補助金申請で共通して必要になる書類の目安は以下の通りです。
近年は電子申請が標準化しており、多くの制度でGビズIDの取得が申請の前提条件となっています。GビズIDは、マイナンバーカードを用いたオンライン申請であれば最短即日〜数日で発行できますが、書類を郵送する申請方式では1〜2週間程度の審査期間を要します。申請を決めたら、余裕をもって早めに手続きを始めてください。
そして最大の失敗パターンを確認しておきましょう。交付決定通知が届く前に発注・購入・契約した費用は補助対象外です。「採択されたから急いで設備を買った」という行動が補助金を無効にする最も多い事例です。採択通知と交付決定通知は別物である点にも注意が必要です。
採択率を高める事業計画書には、次の3つのポイントが不可欠です。
① ターゲット・商圏・差別化の具体性 「地域に貢献したい」「おいしい料理を提供したい」という抽象的な表現は審査員の評価を得にくいです。「△△駅徒歩5分圏内の30〜40代ファミリー層をターゲットとし、○○業態を提供することで、競合する□□チェーンにはない個人経営ならではの体験価値で差別化を図る」という形で、数値と具体的な状況を組み合わせて記述します。
② 根拠のある収支計画 客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数という基本式に基づいて売上を積み上げ、変動費・固定費を差し引いた損益シミュレーションを提示します。楽観的な数字ではなく、根拠が説明できる保守的な数値の方が審査員の信頼を得やすいです。
③ 補助事業終了後の自走・継続見通し 審査員は「補助金がなくなった後も事業が継続できるか」を重視します。補助金で導入した設備やITツールが事業にどう貢献し、売上・利益の向上につながるかのストーリーを明示することが評価につながります。
加えて、審査員は飲食業の専門家ではないことが多いため、業界固有の専門用語を避け、「誰が読んでも理解できる」平易な表現で記述することも大切なポイントです。
補助金と融資は役割がまったく異なります。
現実的な戦略として、開業資金の大部分(物件取得費・厨房設備・内装工事など)は日本政策金融公庫の創業融資でカバーし、補助金は設備投資の一部や広告宣伝費への充当として位置づけるのが安全です。補助金頼みの開業計画は、不採択になった場合に開業自体が頓挫するリスクをはらんでいます。
スケジュール管理の面では、融資申請と補助金申請を並行して進めると時間効率が上がります。融資の審査でも事業計画書が重要な判断材料となるため、補助金用に作成した事業計画書を融資申請にも活用できます。日本政策金融公庫の創業融資制度の詳細は、公式ページ(https://www.jfc.go.jp )を参照してください。
Q. 飲食店開業の補助金は2026年にどんな種類がいくらありますか?
代表的な国の制度として、小規模事業者持続化補助金(通常枠の基本上限50万円・創業型の基本上限200万円、いずれも補助率2/3で、特例の上乗せにより最大250万円まで拡充される回があります)、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金、通常枠で上限最大450万円程度)があります。地域独自の制度では東京都創業助成事業(助成限度額400万円・補助率2/3)が代表例として知られています。補助金は毎年度、公募内容・上限額・補助率が変更されるため、Jグランツ(https://www.jgrants-portal.go.jp/ )およびミラサポplus(https://mirasapo-plus.go.jp )で最新の公募情報を確認することが不可欠です。
Q. ものづくり補助金で飲食店の設備購入はできますか?
原則として、一般的な厨房機器・冷蔵庫・調理器具の購入はものづくり補助金の対象外です。ものづくり補助金は「革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの抜本的改善」が要件であり、通常の飲食店開業における設備投資では採択ハードルが非常に高くなります。飲食店の設備投資には、小規模事業者持続化補助金や地域の補助金制度を検討するのが現実的な選択です。
Q. 事業再構築補助金で飲食店を新規開業することはできますか?
事業再構築補助金は新規申請の受付がすでに終了しており、2026年時点の後継制度は「中小企業新事業進出補助金」です。いずれの制度も「既存の事業者が新分野へ進出する」ことを目的としており、事業実績のない純粋な新規開業には原則申請できません。ただし、既存の法人または個人事業主が他業種から飲食業へ転換する場合は対象となり得るため、認定支援機関に相談の上で公募要領の要件を精査してください。
Q. 補助金と助成金の違いは何ですか?どちらも返済不要ですか?
どちらも返済不要の給付金という点は共通しています。違いは審査の有無で、補助金は予算枠内で競争的審査があり採択が必要なのに対し、助成金は定められた要件を満たせば原則受給できます。飲食店の開業では補助金の種類が多いため、補助金の仕組みを中心に理解しておくことが実用的です。
Q. 個人事業主でも飲食店開業の補助金に申請できますか?
多くの制度で個人事業主も申請対象です。小規模事業者持続化補助金をはじめとする主要制度は、開業届を提出済みで業種・従業員数などの規模要件を満たす個人事業主であれば申請できます。ただし制度ごとに細かい要件が異なるため、公募要領で個人事業主に関する記載を必ず確認してください。
Q. 外国人でも飲食店開業の補助金・助成金に申請できますか?
国の主要な補助金の公募要領には、国籍や在留資格による明示的な制限が設けられていないことが一般的です。「外国人は申請不可」と一概に決まっているわけではありません。ただし実務上は、在留資格で認められた活動範囲や経営・管理に関する要件が論点になる場合があります。在留資格の種類だけで可否が自動的に決まるわけではないため、申請前に必ず各制度の公募要領で在留資格に関する条件を確認することが不可欠です。まずは公募要領を精読することから始めましょう。
Q. 愛知県・岐阜市など地方自治体独自の補助金はどこで調べれば分かりますか?
Jグランツ(https://www.jgrants-portal.go.jp/ )で都道府県・市区町村名と「創業」をキーワードに検索するのが最も効率的です。ミラサポplus(https://mirasapo-plus.go.jp )でも業種・所在地を入力することで利用可能な制度を絞り込めます。加えて、地元の商工会議所・商工会への問い合わせや各自治体の産業振興課への直接確認も有効な方法です。
Q. 補助金採択を勝ち取るための事業計画書のポイントは何ですか?
採択率を高める事業計画書の三大ポイントは、①ターゲット顧客・商圏・競合との差別化を数値で示す具体性、②客単価・席数・回転数に基づく根拠のある収支計画、③補助事業終了後も事業が自走できる継続計画です。審査員は飲食業の専門家ではないことが多いため、専門用語を避けて誰が読んでも理解できる平易な表現で記述することも、採択を左右する重要な要素です。
本記事の金額・制度情報は執筆時点の目安です。実際の費用は業態・規模・地域・時期により異なり、補助金・融資・許認可・税の最新かつ正確な情報・要件は各公式(日本政策金融公庫・中小企業庁・各自治体・税務署等)で必ずご確認ください。
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