飲食店の開業届(個人事業の開廃業等届出書)の書き方を、職業欄・事業の概要・開業日など各欄の記入例を交えて解説します。青色申告承認申請書との同時提出手順、提出期限(開業後1か月以内)、持参・郵送・e-Taxの提出方法も網羅。開業届を出さないリスクやインボイスへの影響まで、開業初期の疑問をまとめて解決します。

飲食店の開業準備を進めていると、「届出」という言葉がいくつも出てきます。なかでも初めて開業する方が最も混乱しやすいのが、税務署への開業届と保健所への飲食店営業許可申請の違いです。このセクションでは、この2つだけに絞って目的・根拠・提出先を整理します。開業全体の手続きフローはピラー記事「飲食店開業に必要な手続きの全体像」をご参照ください。
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2つの手続きは目的がまったく異なります。混同すると「保健所に開業届を出しに行ってしまった」という事態を招くため、まず以下の対比で整理してください。
| 開業届(個人事業の開廃業等届出書) | 飲食店営業許可 |
|---|---|---|
目的 | 所得税の申告・納税準備 | 食品を扱う営業を行う法的許可の取得 |
根拠法 | 所得税法第229条 | 食品衛生法 |
提出先 | 納税地を管轄する税務署 | 店舗所在地を管轄する保健所 |
費用 | 無料 | 都道府県・業態により異なる(目安:15,000〜20,000円程度) |
提出時期 | 開業日から1か月以内 | 事前相談は着工前、申請は工事完成予定日の約10日前まで |
飲食店営業許可は、申請後に保健所の施設検査と許可書の交付を経てからでないと営業を開始できません。申請から許可までは通常1〜3週間程度かかるため、設計段階で保健所に事前相談を行い、工事完成予定日の10日前頃までに申請を済ませておくのが標準的な流れです。
どちらか一方だけでは開業できません。税務署の開業届を出しても、保健所の許可なしに飲食物を提供することは食品衛生法違反になります。逆に、保健所の許可を取得しただけで開業届を出さないと、青色申告の選択ができなくなるなどの不利益が生じます。飲食店営業許可の取得手順については、関連クラスター記事「飲食店営業許可の申請手順と必要書類」で詳しく解説しています。
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開業届と営業許可以外にも、飲食店には複数の届出が必要です。提出先・期限・主な備考を一覧で確認してください。
届出・申請 | 提出先 | 主な期限 | 備考 |
|---|---|---|---|
個人事業の開廃業等届出書(開業届) | 税務署 | 開業日から1か月以内 | 無料・この記事で詳解 |
青色申告承認申請書 | 税務署 | 開業日から2か月以内 | 開業届と同時提出が効率的 |
飲食店営業許可申請 | 保健所 | 工事完成予定日の約10日前まで(事前相談は着工前) | 施設検査あり |
食品衛生責任者の届出 | 保健所 | 営業許可申請時に併せて届出 | 資格取得が前提。様式や手続きは自治体により異なります |
防火対象物使用開始届 | 消防署 | 使用開始7日前まで | 自治体の火災予防条例に基づく制度のため、名称・要否は地域により異なります |
防火管理者選任届 | 消防署 | 収容人員30人以上の場合 | 甲種・乙種の別に注意 |
この記事では税務署への提出書類(開業届・青色申告承認申請書)に絞って解説します。保健所・消防署への手続きは許認可・届出の一覧記事をご参照ください。
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税務署へ提出する「個人事業の開廃業等届出書」は、正式名称が長く難しく感じますが、A4用紙1枚に必要事項を書くだけのシンプルな書類です。ここでは書式の入手から各欄の記入まで、飲食店オーナー向けの記入例を交えて順番に説明します。
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書式の入手方法は3つあります。
手書きでも印刷でも提出に問題はありません。なお、国税庁は2025年(令和7年)1月から、申告書等の控えへの収受日付印(受付印)の押なつを廃止しました。現在は受付印付きの控えを作ることはできません。提出した事実を証明する手段としては、次のものが案内されています。
自分の手元記録として、提出内容と同じものを1部控えておくこと自体は引き続きおすすめします。
持参時の必要物は以下の通りです。
なお、令和3年4月以降、開業届を含む税務関係書類の押印義務は廃止されており、様式から押印欄もなくなっています。印鑑を持参する必要はありません。
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書類を手にしたら、上から順に以下の欄を埋めていきます。迷いやすい「職業欄」と「事業の概要欄」は次のセクションで詳しく解説しますので、ここでは各欄の概要と記入上の注意点を押さえてください。
欄の名称 | 記入内容・注意点 |
|---|---|
届出の区分 | 「開業」にチェックを入れます(廃業・事務所等の新増設ではありません) |
提出先税務署名 | 納税地(自宅または事業所)を管轄する税務署の名称を記入します(例:○○税務署長 殿) |
提出年月日 | 実際に提出する日付を記入します |
納税地 | 原則は住所地(自宅)を記入します。店舗が自宅と別の場合は「上記以外の住所地・事業所等」欄にも店舗住所を記入してください |
氏名・生年月日 | 戸籍上の氏名をフルネームで記入します。生年月日も忘れずに記入してください |
個人番号(マイナンバー) | 12桁のマイナンバーを正確に記入します。提出前に必ず確認してください |
職業 | 下のセクションで詳しく解説します。飲食店は「飲食業」が基本です |
屋号 | 店名があれば記入します。未定・屋号なしの場合は空白で構いません |
開業・廃業等日 | 事業を開始した日を記入します(初営業日とするのが分かりやすい目安です)。詳細は「屋号・開業日・給与等の支払の状況」で解説します |
事業所の概要(所在地・名称) | 店舗の住所と屋号(店名)を記入します |
所得の種類 | 個人事業主として飲食店を経営する場合は「事業所得」を選択します |
事業の概要 | 下のセクションで詳しく解説します。業態と提供形態を20〜30字で記載します |
給与等の支払の状況 | 従業員・アルバイトを雇う場合に記入します。雇用がない場合は「なし」または空白で構いません |
各欄を上から順に埋めることで、記入漏れを防ぐことができます。
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開業届の中でも書き方に迷いやすい欄がこの2つです。
職業欄
職業欄には事業の種類を端的に記載します。飲食店の場合に使われる代表的な記載例は次の通りです。
「イタリアン」「居酒屋」「カフェ」といった業態名は職業欄には不要です。日本標準産業分類上の大分類で記載するのが一般的で、税務署に確認してもどれでも受理されます。迷わないためにも「飲食業」を使うのが最もシンプルです。
事業の概要欄
事業内容を20〜30字程度で具体的に書く欄です。記入例を業態別に示します。
業態 | 記入例 |
|---|---|
ランチ中心の定食屋 | 和食料理の飲食店経営(ランチ・夕食) |
居酒屋 | 居酒屋形態による飲食店経営および酒類提供 |
カフェ | カフェ・喫茶店の経営およびスイーツ販売 |
テイクアウト専門店 | テイクアウト・デリバリー中心の飲食業 |
キッチンカー | キッチンカーによる移動販売式飲食業 |
「飲食物の提供」のような簡素な記載でも届出自体は受理されますが、どのような業態かが分かるよう、業態と提供形態をセットで具体的に記載しておくのが望ましいです。
所得の種類
個人事業主として飲食店を経営する場合は「事業所得」を選択します。給与所得(会社員)や不動産所得とは異なり、事業活動から生じる所得が事業所得に当たります。副業として飲食店を始める場合の所得区分については、帳簿書類の記帳・保存の有無が重要な判定要素となります(詳しくは後述します)。
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屋号欄
屋号(店名)は記載しなくても開業届は受理されます。開業時点で店名が決まっていない場合や、屋号を設けない場合は空白のままで構いません。後から屋号を設ける・変更する場合に法令上の届出義務はなく、確定申告書や青色申告決算書に新しい屋号を記載すれば足ります。記録を残しておきたい場合には、新しい屋号を記載した開業届を任意で再提出する実務もあります。
開業日
所得税法上、「開業日」に明確な定義はありません。開業届には「事業の開始等の事実があった日」を、ご自身の合理的な判断で記載します。初めてお客様に料理を提供した初営業日とするのが最も分かりやすい目安ですが、店舗の契約日や開業準備を本格的に始めた日を開業日とする運用も認められています。
ただし、補助金・融資の申請書類と開業日が食い違う「意図的な虚偽日付」は厳禁です。金融機関や行政機関が書類を照合したときに整合性がとれなくなり、申請が却下されたり信頼を損ねたりするリスクがあります。
内装工事中・準備期間中に「予定開業日」として先出しすることも法律上は可能ですが、青色申告承認申請書の提出期限が開業日の起算点となるため、設定する日付には慎重さが必要です。詳しくは次の章で解説します。
給与等の支払の状況
アルバイトや従業員を雇う予定がある場合のみ記入します。雇用がない場合は「なし」または空白で構いません。従業員を雇う場合は別途「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出する必要があります。
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書き方を理解したら、次は「いつ」「何と一緒に」「どうやって」提出するかを押さえましょう。このセクションでは提出タイミングと方法のすべてをカバーします。
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青色申告承認申請書は開業届とは別の書類であり、個別に提出しなければ効力が生まれません。ただし提出先はどちらも管轄税務署なので、同日にまとめて提出するのが最も効率的です。
青色申告を選択することで得られる主なメリットは以下の3点です。
デメリットとしては、複式簿記による日々の記帳が必要なことが挙げられます。会計ソフトを使えば自動仕訳で対応できますが、記帳の手間がゼロになるわけではない点は念頭に置いてください。
青色申告承認申請書の主な記入欄は、氏名・住所・屋号・事業所の名称と所在地・所得の種類(事業所得)・青色申告を開始したい年分(令和○年分以後)・本年1月16日以後に開業した場合の開業日・簿記方式(複式簿記/簡易簿記)・備付帳簿名です。特に簿記方式と備付帳簿名は65万円控除の適用に直結する重要な欄なので、65万円控除を目指す場合は「複式簿記」を選択し、総勘定元帳・仕訳帳などの帳簿名にチェックを入れてください。開業届とほぼ同じ基本情報を記入するため、手元に開業届のコピーがあればスムーズに書けます。青色申告の記帳方法や確定申告の詳しい手順は「飲食店の青色申告・確定申告ガイド」もあわせてご参照ください。
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期限を誤ると青色申告が翌年分からの適用になってしまいます。「新規開業の場合」と「すでに白色申告で事業を行っている場合の切り替え」ではルールが異なるため、ご自身のケースに合った行を確認してください。
【新規開業の場合】
開業日 | 開業届の期限 | 青色申告承認申請書の期限 | 青色申告が適用される年分 |
|---|---|---|---|
1月1日〜1月15日 | 2月15日まで | その年の3月15日まで | 当年分から |
1月16日以降の任意の日 | 開業日から1か月以内 | 開業日から2か月以内 | 当年分から |
上記の期限を過ぎた場合 | 期限後でも受理される(罰則なし) | 期限後でも提出可 | 翌年分からの適用 |
【白色申告から青色申告へ切り替える場合(既存の個人事業主)】
申請のタイミング | 青色申告が適用される年分 |
|---|---|
切り替えたい年の3月15日まで | 当年分から |
3月16日以降 | 翌年分から |
たとえば4月10日に新規開業した場合、開業届は5月10日まで、青色申告承認申請書は6月10日までが提出期限です(期限日が土日祝日に当たる場合は翌平日となります)。この期限を1日でも過ぎると、その年は白色申告しか選択できず、期限後の申請は翌年分からの適用となります。
開業届は提出期限を過ぎても罰則(過料)はありませんが、青色申告承認申請書の期限超過は実質的な金銭的損失に直結します。開業届と青色申告承認申請書はセットで、できるだけ開業直後(理想は開業日当日〜1週間以内)に提出することを強くおすすめします。
副業として飲食店を始める場合の所得区分は、令和4年10月の所得税基本通達の改正により、帳簿書類の記帳・保存の有無が主な判定基準とされています。帳簿の記帳・保存があれば収入規模が小さくても概ね事業所得として扱われる一方、記帳・保存がない場合は収入300万円以下なら原則として雑所得とされます。雑所得には青色申告は適用されないため、副業で青色申告のメリットを受けたい場合は、日々の記帳と帳簿の保存を確実に行ってください。
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① 管轄税務署への持参
最もオーソドックスな方法です。開業届・青色申告承認申請書を窓口に提出します。受付時間は平日8:30〜17:00(税務署により異なります)。開業届と青色申告承認申請書は同じ税務署に同日提出できます。なお、2025年1月の収受日付印の廃止に伴い、控えへの受付印の押なつは行われなくなりました。窓口では当分の間、受付日付・税務署名が記載されたリーフレットが交付されますので、手元控えとあわせて保管しておきましょう。
② 郵送
郵送先は管轄税務署、または内部事務のセンター化対象署の場合は「国税局業務センター」です(宛名は「○○税務署長」のままで構いません)。ご自身の管轄税務署がセンター化の対象かどうかは、国税庁サイトの「税務署の内部事務のセンター化について」のページで確認してください。普通郵便でも提出できますが、到達記録を残したい場合は簡易書留などの利用も選択肢です。同封物は次の通りです。
収受日付印の廃止により、控えの返送は行われなくなりました。提出事実の確認が必要な場合は、申告書等情報取得サービスや納税証明書などの代替手段を利用します。
③ e-Tax(電子申請)
国税庁のe-Taxソフト(WEB版)などからオンラインで提出できます。送信時の電子署名にはマイナンバーカードを使用します(ICカードリーダーのほか、スマートフォンでの読み取りにも対応しています)。なお、税務署で発行されるID・パスワード方式は「確定申告書等作成コーナー」での所得税申告などに限定された方式のため、開業届・青色申告承認申請書の提出には利用できない点に注意してください。提出後にメッセージボックスへ届く「受信通知」が、提出した事実の公式な証明となります。
e-Tax提出にはもう一つ重要なメリットがあります。青色申告特別控除の最大65万円控除の要件として「電子申告または優良な電子帳簿の保存」が定められており、e-Taxで確定申告することが条件の一つです。開業届をe-Taxで提出しておくと、その後の確定申告もe-Tax経由で行う習慣が自然につきます。
提出の証明手段を確保しておく
開業届の提出事実は、日本政策金融公庫などへの融資申請や、各種補助金の審査で確認を求められる場面が非常に多いです。金融機関は「事業をいつから始めたか」を客観的に確認するためにこれを使います。収受日付印の廃止後は、e-Taxの受信通知が最も確実な証明手段です。書面で提出した場合は、手元控え・窓口交付のリーフレットを保管するとともに、必要に応じて申告書等情報取得サービス(e-Taxで申告書等のデータを取得できるサービス)や納税証明書を利用してください。
開業日から1か月以内に、納税地(自宅または事業所の所在地)を管轄する税務署へ提出します。提出方法は窓口持参・郵送・e-Taxの3つがあり、いずれも有効です(郵送先はセンター化対象署の場合「国税局業務センター」となります)。期限を過ぎても直接的な罰則はありませんが、青色申告承認申請書の提出期限と連動するため、早めに提出することをおすすめします。提出方法の詳細はこちらをご確認ください。
開業届は所得税の申告準備のための届出で提出先は税務署、飲食店営業許可は食品衛生法に基づく営業の許可で提出先は保健所です。目的・根拠法・提出先がすべて異なる別々の手続きであり、飲食店を開業するにはどちらも欠かせません。2つの違いの詳細はこちらの対比表をご確認ください。
職業欄は「飲食業」が最も汎用的で、どの業態にも対応できます。事業の概要欄は「和食料理の飲食店経営」「テイクアウト・デリバリー中心の飲食業」のように、業態と提供形態を20〜30字で記載するのが適切です。「カフェ」「居酒屋」といった業態名だけでは内容が伝わりにくいため、提供内容も添えて具体的に書くことをおすすめします。記入例の詳細はこちらをご確認ください。
はい、同じ税務署に同日提出できます。1月16日以降の新規開業であれば、提出期限は開業日から2か月以内です。1月1日〜15日の開業の場合はその年の3月15日が期限になります。いずれの期限も過ぎると翌年分からの適用となるため、開業届と一緒に早期提出することが重要です。提出期限の早見表はこちらをご確認ください。
所得税法上の罰則(過料)は定められておらず、届出を出さなくても刑事罰を受けることはありません。ただし実務上の不利益は複数あります。①青色申告を選択できないため最大65万円の特別控除が受けられない、②インボイス(適格請求書発行事業者)登録時に事業実態の証明が困難になる、③融資・補助金の審査で「事業開始の証明書類がない」として不利になる、といったケースです。「出さない方がいい」という考え方も一部に存在しますが、これらのデメリットが上回る場面がほとんどです。青色申告のメリット詳細はこちらをご確認ください。
所得税法上、開業日に明確な定義はなく、「事業の開始等の事実があった日」をご自身の合理的な判断で記載します。初めてお客様に飲食物を提供した初営業日とするのが分かりやすい目安ですが、店舗契約日や準備開始日とする運用も認められています。ただし、補助金申請書・融資申請書・営業許可の取得日との整合性が崩れる意図的な虚偽の日付設定は厳禁です。書類間で矛盾が生じると、審査の際に問い合わせを受けたり申請が却下されたりするリスクがあります。開業日欄の詳細はこちらをご確認ください。
法律上は「開業予定日」を記載して事前提出することは可能です。ただし、青色申告承認申請書の提出期限は届出に記載した開業日を起算点として計算されます。開業日を早く設定しすぎると、実際の開業まで時間があっても青色申告の申請期限が迫ってくるため、準備期間の長さに応じて開業日の設定を慎重に決めてください。開業日設定の詳細はこちらをご確認ください。
屋号欄は空白のまま提出しても問題ありません。後から屋号を設ける・変更する場合に法令上の届出義務はなく、確定申告書に新しい屋号を記載すれば足ります(詳しくは「屋号・開業日・給与等の支払の状況」をご覧ください)。なお、本記事で解説している開業届は個人事業主向けの手続きです。会社(株式会社・合同会社など)として飲食店を開業する場合は、法人設立登記・法人設立届出書など別途の手続きが必要となり、個人事業主の開業届とは制度が根本的に異なります。
開業届とインボイス登録は別々の手続きです。インボイス登録は「適格請求書発行事業者の登録申請書」を、e-Taxまたは郵送(管轄地域のインボイス登録センター宛て)で提出します。登録通知までの目安はe-Taxで約1か月、書面提出で約2か月です。飲食店の場合、一般消費者向けの商売では請求書を発行しないケースも多く、インボイス登録が必須でない場面もあります。ただし、業者向け仕出しやケータリング等でBtoB取引がある場合は登録を検討する価値があります。インボイス登録の審査や融資申請時に、開業届の提出事実の証明を求められることがあるため、e-Taxの受信通知や手元控えは必ず保管しておいてください。提出の証明手段については「提出方法」セクションをご確認ください。
e-Taxソフト(WEB版)などからオンライン提出が可能です。送信時の電子署名にマイナンバーカードが必要で、ICカードリーダーのほかスマートフォンでの読み取りにも対応しています。なお、税務署で発行されるID・パスワード方式は確定申告書等作成コーナーでの所得税申告などに限定された方式のため、開業届の提出には利用できません。提出後に届く「受信通知(メッセージボックス)」が提出した事実の公式な証明となり、2025年1月の収受日付印廃止後は最も確実な証明手段です。e-Taxで開業届を提出しておくと、その後の確定申告もe-Tax経由で行いやすくなり、青色申告65万円特別控除の要件である「電子申告」の条件を自然に満たせます。国税庁e-Taxポータルから手続きを進めてください。提出方法の詳細はこちらもあわせてご確認ください。
本記事の金額・制度情報は執筆時点の目安です。実際の費用は業態・規模・地域・時期により異なり、補助金・融資・許認可・税の最新かつ正確な情報・要件は各公式(日本政策金融公庫・中小企業庁・各自治体・税務署等)で必ずご確認ください。
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